RIDERS INTERVIEW SERIES #2
“What makes you push?”
スケーター守重琳央のクリエイティビティ。

「Always Pushing. 進む、まだまだもっと」――もう一歩前に進めば、よりよい未来が待っている。それを認識しているからVANSのライダーたちは、自分の限界を超えるべく何度も挑戦を繰り返している。この記事は、つねにレベルアップを追求するVANSのライダーたちのマインドセットや原動力を探る連載企画。今回は、TIGHTBOOTH PRODUCTIONのスケートビデオ『LENZ Ⅲ』でトップバッターを飾った守重琳央さんにフィーチャー。VANSの海外イベントに参加した話や撮影で大切にしていることなどを聞いた。
守重琳央
2002年生まれ、神奈川県横須賀市出身。3歳からスケートボードを始め、2016年からVANSと契約。VANS APACチームの『Eye of the Storm』や『PETALS』、Vans Japanの『COAST 2 COAST』などVANSのスケートビデオに出演。〈タイトブース プロダクション〉の『LENZ Ⅲ』でのフルパートも話題となった。
刺激を受ける海外のシーン。
―昨年リリースされたTIGHTBOOTH PRODUCTIONの『LENZ Ⅲ』は、かなりの話題作だったね。
守重:すべての力を出し切ったので、いろんなスケーターからよかったよって言ってもらえて本当に嬉しいです。
―『LENZ Ⅲ』で特に苦労したところは?
守重:最後のシーンのスポットはセキュリティがすごく厳しくて、5日くらい通いました。隙を見てトライするんですけど、やっぱり怒られちゃうんですよ。そうしたら移動して休憩して、また戻って。すごく時間をかけました。
―貴重な1本を撮影するとき、どんなことを考えてる?
守重:なるべく早く決めてやろう、これで絶対に終わらすぞ、そういう気持ちで臨んでいます。すごく怖いスポットに挑戦するときは、気合いと勢いで突っ込むって感じ。考えちゃうと、どんどん怖くなっちゃうので。いけるって自分を信じています。
―撮影では、どんなことを意識している?
守重:まず、誰もやっていないトリックを撮影すること。すでに誰かがやっているトリックだったら、それより上を目指す気持ちで挑みます。
―何度も失敗したスポットもあるかと思うけど、それでも挑み続ける原動力は?
守重:ただただ単純に、スケートボードが大好きということですかね。
―スケートボードをしていて、アガる瞬間は?
守重:できないことができた瞬間もそうだし、プッシュしているだけでも楽しいです。
―悩むことはある?
守重:できないトリックがあると、悩むというよりもっと頑張ろうって思う。悩むことはないですね。
―今年2月にリリースされたVANSのアジアチーム、VANS APACのビデオ『PETALS』では中国やマレーシアへ行ってたね。
守重:見たことないスポットがいっぱいあって楽しかったし、日本よりセキュリティも緩いのでスケボーがしやすかったです。うまいスケーターとたくさん出会って仲良くなれたのもよかった。
―どんなコミュニケーションを取ってた?
守重:ぼくは英語が得意じゃないのでたくさん話すことはできなかったけど、スケートボードが好きなら考えていることも近いんで、一緒に過ごしていると通じ合える部分も多くて楽しかったです。海外のスケーターの遊び方は、日本とほぼ変わりませんでしたよ。
―ストリートで滑る魅力は、どんなところに感じる?
守重:ストリートにあるセクションはスケートボード用に作られていないので、それを攻略するおもしろさがあります。あと、ストリートで滑っているとどうしても怒られちゃうから、いかに怒られないようにするか考えるのもストリートならではかな。
―怒られないように対応する、処世術も身につきそうだね。
守重:そうですね。なるべく挨拶したり、ちゃんと相槌を打つのも意外と大事だったり。こっちがちゃんとしていれば、「じゃあ、あと3回だけいいよ」って言ってもらえることもあるので。
―今年7月には、カナダで開催されたVANS主催の「The Bunt Jam 2024」にも参加したね。
守重:初めてトロントに行ったけど、すごく楽しかったです。スケートボードとバスケットボールが融合したイベントで、3on3のバスケの試合とか、プロスケーターが本気でバトルしているのを観られて、すごくいい経験になりました。
―他国のVANSのライダーから、いい刺激を受けた?
守重:そうですね。子どもの頃から『スラッシャーマガジン』とかスケートビデオで観ていたスケーターと一緒にセッションできたのは本当に刺激的でした。
―そのなかで特に印象に残っていることは?
守重:ザイオン・ライトっていうプロスケーターが、すごく難しいトリックに挑戦していたんですよ。なかなか乗れなくても何回もトライして、最後の最後に決めた。それを目の当たりにしたら、プロスケーターの本当のすごさを感じて、カッケー!! って気持ちが込み上げてきました。いい瞬間を見られて満足感がありました。
クリエイティブな思考が最重要。
―いままで1番嬉しかったメイクは?
守重:小学6年生から中学2年生まで、初めてスケートビデオのパートを撮影していたんですよ。でかいハンドレールのスポットがあって、メイクしたら自分を超えられるって思ったけど怖くて全然できなくて、結局期限に間に合わなかった。でも、1日だけ時間があるから撮りに行こうってフィルマーが言ってくれたから、お父さんに車を出してもらって3人で行ったんですよ。それで恐怖を乗り越えてメイクした瞬間は、一生忘れられないと思う。涙が出てきちゃったくらい嬉しかった。その後、小さい頃からよくしてくれていたそのフィルマーの方は亡くなっちゃって、そのときのメイクは自分のなかのモチベーションとして残っています。
―ビデオを撮っていて、1番嬉しい瞬間は?
守重:仲間たちと映像に残すことに専念して頑張っているんですけど、それが完成して試写会をするときが嬉しいです。ここまでおれたちはやってきたんだ、って実感できるいい瞬間ですね。
―ともにひとつの作品を作り上げる、仲間の存在は大切だよね。
守重:一緒に滑ったりスケートトリップに行ったり、自分が成長していくうえで欠かせない大事な存在です。強くなれるというか。

―気心の知れた仲間と行くスケートトリップは楽しそう。
守重:高校生のとき、吉岡賢人くんが立ち上げた「アップル」っていうクルーのみんなで全国各地へツアーに行ったのは青春って感じですね。みんなお金はないけどスケボーしたいし、撮影もしたい気持ちが強かった。福岡とか広島とか大阪に気合いで行ったのは思い出に残っているし、いまのスケートボードが好きな理由に繋がっていると思います。
―ビデオでは、どんなところがカッコいいの基準になっている?
守重:ひとによっての好みはありますけど、ぼくがカッコいいと思うポイントは、スポットをクリエイティブに、まだ見たことない使い方をしているひと。
―クリエイティブな考え方が重要なんだね。
守重:そうですね。1番大事だと思います。ぼくにはできないでかいハンドレールに突っ込んでいくひとがいるし、海外のスケーターと比べると体の大きさでも勝てません。でも、クリエイティビティや柔軟性を持てば、ほかのひとより輝けるかもしれないって考えています。誰もやっていないことに挑戦するように心がけています。

―撮影する際、トリック以外でいい映像を残すために気を遣っていることは?
トップスとボトムスのカラーリングは考えています。夜に撮影すると、画面が真っ黒になるから、ワンポイントでもカラーが入っていると映えるんですよ。(上野)伸平さんから教わって、自分も気をつけていることです。
―最近、VANSのシューズはなにを履いている?
守重:「ローワン2」。ゴツすぎずスリムすぎないフォルムが好きですね。新しいモデルですけど、クラシックなニュアンスが残っていて、ハイテクすぎないところが気に入っています。足になじむソールの柔らかさも調子いい。耐久性が高くて、壊れにくいですし。
―最後に、理想のスケーター像は?
守重:ひとつは自分のシグネチャーデッキを出すことが目標です。
―そのために、いまやるべきことはなんだと思う?
守重:コンテストは苦手で、全然いい成績を残せないんですよ。だから、クリエイティブな考え方で映像を作って、いいパートを出して、いい写真を撮って、雑誌に掲載してもらえるように頑張ります。続けていくしかないですね。
RIDER’S FAVORITE MODEL
RIDERS INTERVIEW SERIES
#1 JUNNOSUKE HASEGAWA
#2 RIO MORISHIGE
#3 COCONA HIRAKI
#4 RIM NAKAMURA
#5 SAKURA YOSOZUMI
#6 HINANO KUSAKI
#7 RYO AIZAWA
#8 HINA MAEDA